こんにちはTHEORDERの四宮です。

今更なのですが先月の美容業界誌BOBさんにピンクのヘアカラー色出しの記事を掲載させて頂きました。(全然告知していなかったのであれTHEORDERの記事だったんだと思われる方も多いかと思います。)

ピンクカラーの流行と共に現在のカラー剤や求められるカラーの色味に対してどのような色出しをしていく必要があるかと言う記事の依頼を受け掲載させて頂きました。

記事の関係上4ページに内容をまとめた記事なので実は細かく書ききれなかった部分も多いので、今回は美容師さん向けにかなりマニアックなピンクカラーを綺麗に染める薬剤紹介をしていきます。

実は約100種類ほどの大量の毛束と薬剤テストでの検証をし色出しをしました。普段THEORDERでは使用しない薬剤もテストしピンクに対してマニアックに色味表現の研究をしてあります。(しばらくはピンクの研究はいいやと思う位に大量の毛束をスタイリストのひろき君と共に検証しました。)今回はその中でもオススメな薬剤を抜粋し紹介していきます。
現代のピンク系ヘアカラーはどんなバリエーションがあるのか?
今回雑誌にて紹介したのは様々な薬剤でのピンクの色味の違いです。記事では簡単にしかかけていなかったのでここではまずどのようなバリエーションがあるんでしょうか?
- 通常タイプのアルカリカラー剤
- アルカリカラーでも質感やダメージレスに特化した物
- アルカリカラーに直接染料などがミックスされているタイプ(メーカーによって様々な染料が配合されています。)
- マニキュアなどの酸性染料
- トリートメントカラーなどの塩基性染料
- シャンプータイプ(濃さなど様々なバリエーションあり)
簡単に書きだしただけでも薬剤の種類もかなり豊富に色のコントロールもしやすくなっています。どのような色味を出す時にはこの薬剤を使用する!と言うように薬剤のチョイスも今の時代求められる薬剤コントロールになっています。
アルカリカラーの中でも各メーカー出せる色味の幅も個性があり、更に塩基性やマニキュアなど様々なサイドや透明感の違う薬剤が混同しています。アルカリカラーだから鮮やかな色味が出せないという感じではなく、アルカリカラー剤でも発色が鮮やかな物はマニキュアと同じ位発色する物もあります。
それぞれ色以外にも塩基性であればダメージが進行している部分に発色や色の定着が良い反面ダメージがしていない部分は染まりにくいです。
逆に通常のアルカリカラーでは健康な部分の方が色の定着が良く毛先などのダメージが進んでいる部分では色落ちや染まりが悪くなる性質があります。それぞれの薬剤の性質を理解し適材適所で使い分ける事も重要です。
各メーカーそれぞれのピンクの薬剤の染まりの違いを比較してみた
ここからは僕のお勧めするピンク性の薬剤と特徴的な色味を表現できる薬剤を説明していきます。
- 明るさ違いのブリーチ毛束で色味の違いを検証
- 染料が濃いものなど一部の毛束はブリーチでの脱染でのテスト
記事の掲載内容に合わせて薬剤に合わせて毛束の染める本数が違う検証になっています。
通常のアルカリカラーで出せるピンク系の色味は各メーカー多少の色の違いはあれど、(色相が紫よりか赤よりかなど)色の発色自体はどのメーカーも性能が良く色の幅はそこまで変わりません。
ただ色味とは別に薬剤の処方は当然ながら違いますので、質感や手触り、ダメージ網に対しての染まりやアルカリ量でのリフトの違い、粘性などのウェットやドライでの塗布のしやすさや発色などスペックの違いがかなり大きく違います。
ここでは色味にフォーカスして説明していますが、実際は色味だけでなく性能や使用感で同じ色味を表現できる薬剤でも使い分けや選ばれる事をお勧めします。(勿論大人の事情などもあるとは思いますが。)
オルディーブフェミニティピンク
僕のナチュラルない色味を表現する時におススメなのはオルディーブのフェミニティピンクです。

ミルボンさんは通常のベーシックカラーの55でのピンクもありますがシーズンカラーで発売される新色の方が色味の定着と彩度の高さから色の調整幅が広くおススメです。(そこまで彩度を求めない場合だと55も良いのかと思います。)アディクシーカラーにもパープルガーネットと言うピンク系のカラーもあるのですが少し紫味が強い為フェミニティピンクの方がピンクと言った印象です。
色味は少し紫味に寄ったピンク系のヘアカラーです。この様な色味は最近のピンク系のヘアカラーでのベーシックな色味になっています。アルカリカラーなのでダメージが過度にある部分には定着しにくいです。その為綺麗に染める為には毛先などのダメージコントロールをしベースを整える必要があります。

ちなみにフェミニティアッシュピンクはもう少し紫寄りの色味になっています。ミックスして色味を微調整するのがベターな使い方ですね。

昔からある定番の55ラインはこんなナチュラルな色味です。カラー剤は感覚ではなく毛束で染めるとこんな色だったんだってこと多いです。
フュージョニスト ピンク
今度はが配合されているハイブリッドタイプのアルカリカラー剤です。通常のアルカリカラーよりも色味の彩度が高くかなり鮮やかに色味を表現できます。アルカリカラーですのでベースの明度も上げながらサイドを表現できるので、塩基性とアルカリカラーの中間的な表現に適しています。

ただダメージ部分に染まりやすい塩基性の部分もあるので、毛先などダメージが強い部分の彩度が高くなる染まり方をします。その特性を理解し薬剤調整やデザインを作る必要がありますが、逆にその特性を利用すればデザインの幅が広がるので少し慣れが必要なカラー剤になります。
あと気を付けないといけないのが残留です。自然退色は綺麗に落ちるのですが、色が濃い状態ですとブリーチしても色味が残留する傾向があります。
資生堂 カラーミューズ ピンク
カラーミューズは塩基性カラー剤のタイプです。ピンクと言う高彩度の色味があります。

特徴としてはアルカリカラーには出せない高彩度とダメージレスが特徴です。アルカリカラーではないのでベースのリフトが出来ない事とダメージレベルが少ない場所には染まりが薄くなってしまいます。その為白髪などのリタッチなどで根元を鮮やかに染める事には向いていません。その場合はマニキュアで染める方が適しています。
カラーミューズの特徴は色相の幅と操作性と色味の発色の安定さがあげられます。塩基性の剤によっては流した際に色味が変化してしま足り色を多色で塗り空分ける場合にシャンプー時に周りに色映りがしてしまうケースがあります。その部分の安定性が抜群に良いのがカラーミューズの特徴です。ダメージレベルや色味の濃さによってはアルカリカラーよりも残留するケースもあるので、(逆に捉えると色持ちが良いとも言えます。)その場合は専用のリムーバーなどで脱染する必要がありますが、その色持ちを利用して退色を調整する事も出来ます。
マニキュアなどでは色味が鮮やか過ぎて蛍光色の様に発色してしまうので、最近の鮮やかなヘアカラーでは染めた後の事も考えると塩基性が使いやすいかと思います。
毛束での検証に載っているようにブリーチでも意外に色味が取れるのも使いやすい所です。
ロコル ピンク
塩基性でもメーカーそれぞれ色味の特徴などが違います。

好みの部分になってくるのですがロコルではこんな色味です。後は粘性などの操作性も好みによるのかなと。
ティントバー ベリーベリーピンク
アルカリカラー剤の中でもかなり高彩度に色味を設定しているものもあります。

ティントバーは最近のアルカリカラーの中でも高彩度に設定され色味の幅が広いカラー剤と言えます。先ほど紹介したフェミニティピンクなどでは色味の彩度が足りない場合はこの様なコントロールカラーを色味の調整用においておけばお客様の要望に対して濃さの調整をする事も容易です。サロンのお客様のニーズに対して色味が濃いカラーの需要が少ない場合にはこのようなコントロールカラーを揃えるだけでも在庫的にも色味の表現幅的にも使いやすいかと思います。
ティントバーは最近のアルカリカラーの中でも高彩度に設定され色味の幅が広いカラー剤と言えます。先ほど紹介したフェミニティピンクなどでは色味の彩度が足りない場合はこの様なコントロールカラーを色味の調整用においておけばお客様の要望に対して濃さの調整をする事も容易です。サロンのお客様のニーズに対して色味が濃いカラーの需要が少ない場合にはこのようなコントロールカラーを揃えるだけでも在庫的にも色味の表現幅的にも使いやすいかと思います。
残留の心配もsくないのも使いやすいポイントです。逆に言うと色持ちを良くしたい場合はやはりアルカリカラーでは残らないと考える事も出来ます。
ホーユー スウィートピンク
マニキュア系のカラー剤は昔よりも他のカラー剤の種類の彩度が上がったためそこまで登場する事は減りましたが、マニキュアのニーズが多いサロンでは、アルカリカラーではマニキュアとミックスする事が出来ませんから、マニキュアとミックスする事で色の表現が広がりますのでまだまだ必要性のあるカラー剤です。

メリットとしては髪の状態に関係なく根元から色味を染める事に適しているのとその質感です。ダメージレスと艶のある仕上がりはマニキュアの強みです。
ただ色味の濃さ調整は薬剤の彩度が強い為調整に慣れが必要なのと、残留がしやすい性質がある為次回の色を考えずに染めてしまうと後々自分の首を絞めてしまいます。
僕自身はマニキュアと言うものを使用する機会がほとんどなくなったのですが、講習の際の質問ではまだまだマニキュア現役のサロンさんも多いので、
マニキュアで白髪を活かした鮮やかなピンクにしたい債は便利です。ただ操作性の部分でゼロテク塗布が苦手な方には時間がかかる面もあります。
ホーユー ソマルカ ピンクシャンプー
僕のyoutubeやブログでも紹介した事がありますが今度はピンク系のカラーシャンプーです。この検証では5回シャンプーした色味で見本を作成してあります。
このソマルカは通常のカラーシャンプーより色味が濃くブリーチに明度がしっかりと上げられていれば子のシャンプーだけでも色を表現する事が出来ます。ただシャンプーですから色の退色の早さとベースの明度差がある状態では色がムラに染まってしまいます。

その為ベースの明度に合わせてカラー剤でベースを整えるか、(根元など明るさがグラデーションの場合はその部分をカラー剤でピンクの土台を作るなど。)全体を均一な明度で明るくする必要があります。時間もかからず淡いピンクの色味表現に適しているので、コットンピンクなどのヘアカラーには向いています。ただ放置時間では色味が濃くなっていかないので、濃いめに染めたい場合は回数や剤を重ねたり足して色味を調整する必要があります。部分的な色味のにはシャンプーではなくトリートメントタイプを使用するのがオススメです。
時間もかからず残留もしないので施術する人もそこまで力量を問いません。その為時短と言う面でもメリットは多いです。
イルミナカラー ブロッサム
アルカリカラーのバリエーションとして質感や艶感に特化したカラー剤も紹介します。イルミナカラーの新色ブロッサムは色味の濃さだけでなく質感の良さとアルカリカラーでもダメージを抑えた処方になっています。

色味の個人的な感想としては濃さはそこまで高彩度ではなく淡さのあるピンク系と言った印象でした。少し強めのピンク表現には向きませんが質感の良さはブリーチオンカラーには大切なポイントです。ベースの素材のダメージが進んでいるケースではオンカラーのカラー剤を気を付ける事でダメージの進行を抑えますし、プレックス系と組み合わせる事で難しい素材にも対応できます。
色味の個人的な感想としては濃さはそこまで高彩度ではなく淡さのあるピンク系と言った印象でした。少し強めのピンク表現には向きませんが質感の良さはブリーチオンカラーには大切なポイントです。ベースの素材のダメージが進んでいるケースではオンカラーのカラー剤を気を付ける事でダメージの進行を抑えますし、プレックス系と組み合わせる事で難しい素材にも対応できます。
イルミナカラーは他にもコーラルとトワイライトがピンク系カラーとして存在します。こちらも今の時代ではナチュラルな彩度になっています。


今回のまとめ
いかがでしたでしょうか。ピンク系の記事の依頼を受け今回は約100本前後の毛束を染め色の検証をしてみました。記事の内容的にポイントを抜粋して載せてありますが、ここでは少しマニアックに細かい所を説明していきました。
ピンク系ヘアカラーはアルカリカラーだけでなく塩基性から薬剤のメーカーの特性や色味など使い分ける事とケースによってどの薬剤を選定し、髪のベースやダメージレベルによって使い分ける事が重要になってきます。
その為対応幅を広げられるように各それぞれの薬剤の使いこなしとどの薬剤を選択するかが美容師の腕の見せ所です。
勿論綺麗に染まるベース作りやブリーチコントロールも重要ですから。ブリーチと共に技術やプレックス系の使いこなしなどピンクに染める前の土台作りも重要です。
今回はデザインと言うよりも色出し表現と言う部分で細かく書いていったので参考にして頂けたら幸いです。BOBさんでも紹介されていたピンク系のヘアカラーデザインが多数載っていましたがそのデザインを表現するのにも薬剤の使いこなしが出来ないとイメージしている色出しが出来ません。
最近はバレイヤージュなどのブリーチでのベースコントロールが注目されがちですが、新しい薬剤が登場しそれをどう活かしデザインの幅を広げお客様に提案するのかが求められるのではないでしょうか。